住宅の不同沈下・地盤改良、自然災害による住宅被害の復旧工事等、住宅の基礎地盤の全てのご相談に応じます。WASC(ワスク)は住宅の基礎と地盤の専門会社です。

そこに住む人を守りたい

東日本大震災にともなうWASCからのお知らせ

弊社は「そこに住む人の生命と財産を守りたい」との想いで2005年に創業しました。
具体的には「常時、自然災害時の住宅の不同沈下防止と修復」です。
代表取締役高森洋は昭和46年から住宅基礎、地盤に関り、その後の宮城県沖地震以来、多くの自然災害被災地で調査、修復にあたってきました。これらを通じて感じたことは「地震の時、地盤は昔の姿に戻る」で、以後機会あるごとに言い続けてきました。

今に生き、今に尽くす。これ店名也、我の使命なり40年余自然災害に関ってきた高森は、今回の大震災の復旧修復に天命、使命を感じています。
このため今までの経験と実績の全てを今回の大震災に注ぎ、現地での取材、調査、修復相談などの生々しい状況をお伝えすると共に、弊社の責任で見解を述べさせていただきます。
このことによって微力であっても被災地の皆様方の復旧、復興に役立ちたいと願うものです。
被災建物の調査と修復設計を希望されるかたはご連絡ください。持てる力の全てをかけて取り組ませていただきます。

第16報:液状化で不同沈下した建物の修復工事について

  1. 1:現場で施工されている工法

    近頃被災地に入るとあちこちで修復工事が行われています。このところ見かけた工法は次のものです。
    • ①ぶ厚い鉄板をジャッキの下に敷いた「耐圧版工法」

      鉄板の下に施工する工法に各社の特長があります。
      弊社では今までの実績からWASCシートパック工法を提案しています(第6報に詳細)。

    • ②建物自重を反力にして短い鋼管を押込む

      「押込みアンダーピニング工法」

    • ③新築時に施工されていた鋼管杭を反力にした

      「既存アンダーピニング工法」

    GL-1.2mぐらいまで
    • ④地盤を固める材料を注入してベタ基礎ごと持ち上げる「薬液注入工法」
    • ⑤1階床面積の3倍ぐらい広い敷地の場合、建物を一旦移動して、
        杭などの地盤補強を実施した後、元に戻す「曳屋工法」
    • ⑥基礎から持ち上げず、建物の土台から上をジャッキUPする工法
  2. 2:現場で気づいたこと

    現場を見て、現場の人と会話して、気づいたことを列記します。
    (1)水位が高いので大変な仕事。
    浦安、潮来、神栖の液状化被災地はGL-1.0mぐらいで水が出ます。特に潮来市日の出地区はGL-0.5mぐらいで水がでる宅地があります。これだけ水位が高いから液状化したのですが、予期していた人は少ない。このため現場では大変な仕事になっています。
    ①掘削できない

    掘削穴に溜まった水の排水、これが毎朝一番の仕事です。
    ポンプで排水しても砂地盤ですから崩れてしまい、川の中でドロをすくっている状態です。

    ②感電の危険性

    前記②、③の工法では掘削した穴やトンネルの中で溶接します。このとき溶接機のケーブルから漏電すると感電死しかねません。

    ③当初は上記①、②、③のいずれかで計画して、着工して水位の高さから⑥に変更

    している現場があります。特に築後20年以上経過した在来木造住宅では⑥が無難でしょう。

    (2)押込みアンダーピニングは大丈夫なのか?

    ある場所には不同沈下した建物が集中しています。ここで聞いた納得できない話。

    Aさん:
    新築のとき私の家は10m、隣の家は15mの杭を打っていたが20cm以上不同沈下した。修復することに決めたが、もっと長い杭を打つ。
    工事中の家(30mぐらい離れた家では鋼管杭の押込みを施工中)
    杭は10m~8mでとまる(施工会社談)。
    押込み鋼管杭は建物の自重を反力にして鋼管杭を地中に押込みます。鋼管杭の先端に何かしらの硬い地盤があると、それより深くは押込めません。
    近くの家では新築時に10m、15mの杭を施工していても不同沈下したのに・・大丈夫か?と 思わずにはいられませんでした。

第15報:液状化で被災された方々から質問される内容

復旧、復興にはほど遠いのですが、被災地はそれなりに少し落ち着いてきたように感じます。
そのような今、被災者の方々から質問されることは大体次の3つです。

  • (1)いま直しても、次に地震がきたらまた不同沈下する・・と聞いたがどうなんですか?
  • (2)直す方法はどれが良いのですか?
  • (3)直す費用はどれぐらいかかるのか?

このような質問に対して私は次のように答えています。

Q1:いま直しても次の地震でまた不同沈下するのか?
私の回答:
今回の地震よりも大きい地震がきたら、また被害を蒙るかも知れません。
その規模までの地震なら顕著な被害は無いと思います。
その理由:
平成7年の阪神大震災で液状化した芦屋浜シーサイドタウンの修復工事を担当しました。
住民の中には知人が居り、今回あらためて確認したところ「修復以来、別に変化は無い」との回答をいただいた。あれから16年、その間にある程度の地震はきているはずです。
要  望:
「次の地震でまた被災する」・・このようなコメントは震災発生以来、何回か聞いたり、読んだことがあります。安全側のコメントとしたらそれで良いのですが、被災者にとっては困ります。いつまで待っても修復の決心ができないわけですから。
学問的にそれが正しいのであれば了解します。しかし修復したいと考えている住民の方々のために「・・次の地震でまた被災する。そのために今の修復はこのような方法でやって欲しい」とのアドバイスをしていただきたい。
Q2:直す方法はどれが良いのか?
私の回答:
耐圧版工法が無難です。
水位が高い(浅いところに水がある)ので鉄板の耐圧版であるべきです。また耐圧版を支える地盤が水位より下ですから、耐圧版の沈下防止が必要。そのために土のう工法、WASCシートパック工法が多く採用されています。
(弊社のHP「東日本大震災にともなうWASCからのお知らせ」の
  第6報に色々な工法と特長を掲載しています)
その理由:
最も確実な工法の「鋼管杭によるアンダーピニング」は次の理由()により採用困難、また曳屋による工法は、それが実施できる敷地が少ない。残った工法のうち費用、確実性を考えると耐圧版工法になります。
※:細い鋼管杭の支持力は周面摩擦力への依存が大きい。

 しかし、液状化地盤は砂であるため周面摩擦力が小さい。
:周面摩擦力の代わりに先端支持力で!!と考えるなら、

長い杭が必要となる。その長さまで押込むには「かなりの反力とお金」が不足。

Q3:直す費用はどれほどかかるのか?
私の回答:
修復工事をしている方々に聴くと、耐圧版工法の場合「建物の延べ床面積(坪数)×10万円/坪」あたりが多いようです。
但し、その費用は不同沈下した建物を水平にジャッキUPするだけの費用です。実際には少なくとも次の工事費用が必要です。

○水平にした後、敷地の沈下分だけ建物全体をジャッキUPする費用。
○給排水設備のやり変え ○隣地境の土止め、フエンスのやり変え
○敷地内への土入れ ○その他

このようなことを考えると「延べ坪数×20万円/坪」がおおよその総額となります。
聞いた話によるとジャッキUPによる水平化工事だけでmaxは1千万円超、minは200万円。どうしてこんな金額になるのか?利益を見込まず仕事をしている会社は無いはず。
高い会社はそれに見合う内容であることを期待し、安い会社はその努力に敬意をはらいたい。しかし200万円には疑問がある。

第14報:液状化で噴出した70年前の松杭を貰いました

荷造りした木杭と岡元様ご夫妻
荷造りした木杭と岡元様ご夫妻
液状化した地盤から水、砂と一緒に松杭が噴出してきました(第3報にも掲載)。
潮来市日の出地区は元々「外波逆浦(そとなさかうら)」と呼ばれていた湖でした。
ここが昭和14年から干拓され、その後宅地として区画整理されたところです。干拓の時に使った松杭が今回、吹き上がってきました。
高い水位が幸いしてドップリ水に浸かっていたため、70年間腐らずそのままの形と硬さでした。
岡元様宅の庭に出ていた3本を貰いました。
2本を弊社(大阪)、1本を九州の知人が今後大事に保管します。
近年、新築住宅の不同沈下防止工法として木杭が見直され、実施棟数も増えています。
木杭で一番心配なことは耐久性です。
今回いただいた木杭は70年経過した実物です。
「百聞は一見にしかず」の言葉通り、耐久性を示す貴重な宝です。
この宝の木杭を次のように命名しました。
●2011年潮来市日の出・一郎、同・二郎(弊社で保管)
●2011年潮 来市日の出・三郎(九州で緒方さんが保管)

第13報:新築時に施工した柱状改良、鋼管杭は液状化で不同沈下していました

「新築時に施工した地盤補強、少しは効果があったのか?」関係者なら誰でも思うこと。この疑問は修復工事中の現場を見ればある程度解けます。
  • 被災地

    ・柱状改良体が見える
    ・この建物で≒400mm不同沈下

    柱状改良の支持力の多くは周面摩
    擦力。液状化によってその周面摩
    擦力が一瞬「0」になり沈下(下図のA)

  • 被災地

    ・鋼管杭の頭が見える
    ・この建物で≒200mm不同沈下

    建築地で本当の支持力を得るための杭長は≒25m(右図のC)。
    住宅でその長さを施工していたとは思えない。
    中間層まで施工していたものと推測(下図のB)。

  • 被災地

第12報:宮城県の津浪の被災地に行ってきました…5月26日~28日、6月8日~9日

4月29日~5月1日は岩手県の被災地へ行き、被災状況を眼に焼き付けてきました。
今回は次の被災地へ行ってきました。
5月26日:
福島県白河市の擁壁被災地(高森)
5月27日~
28日(高森)、6月8日~9日(杉本)
:宮城県南三陸町、女川町、石巻市渡波、仙台市若林区、名取市

◎被災地の中で残っている神社を見ました。これは岩手県で見た光景とおなじです。

(1)白河市白井掛下地区では斜面の造成地の擁壁が崩れ、その上の住宅も解体中でした

  • 建物と擁壁が順次解体されていた

  • 間知ブロックのこの積み方はおかしい。常識外
(2)南三陸町志津川の防災センター建物が悲しさを伝えています。
  • 防災センター
    防災センター
  • 国旗を見るとホッとする
    国旗を見るとホッとする
  • 低地に民家のあとは無い
    低地に民家のあとは無い
  • 高台は無事
    高台は無事
  • 志津川駅まで見通せる
    志津川駅まで見通せる
  • 志津川高校下から町を見る
    志津川高校下から町を見る
  • 立木の変色。15mぐらい
(3)女川ではRC造、重量鉄骨造の建物が倒れて、基礎と杭が見えていました。
  • 女川
  • 女川
  • 女川
  • 女川
  • 女川
  • 女川

この建物は単に転倒したのではなく、窓から流入した海水で浮力が発生し、数m浮いて移動した後、転倒した(過日、建築研究所の担当者/毎日新聞掲載)。
それにしても「杭」が見えるとは・・。

(4)時計の針が「14:40」で止まったままの渡波では地盤が大きく沈下していました。
  • 止まった時計
  • かろうじて残った秋葉神社の社殿
    かろうじて残った秋葉神社の社殿
(5)松並木の松が運ばれて横倒しになっていた仙台市若林区荒浜、名取市

海岸線近くの平坦地。建物は倒壊し、松並木から松の大木がそこら一面に流れてきている。
仙台空港そばの下増田神社。微高地にあり倒壊、流出を免れていた。

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